終了12/17〜片山真理 展 you're mine

 

 

 

片山真理 展  
you’re mine
 
 
 
会期:2014年12月17日(水)~2015年2月15日(日)
 
 
 
片山真理 初個展「you're mine」、
いよいよ今週日曜まで(~2/15)となりました。
作家もできるだけ毎日夕方より在廊いたします。
 
2月14日(土)は、ヴァレンタイン♡ライヴ。
NHKドラマ『悪夢』でも劇中でライヴを披露し、
今年から本格的にシンガーとして活動を始める
片山のしっとりとした歌声をぜひ一度お聴きください。
 
 
日時:2月14日(土)19時〜 2ステージ
料金:2000円 (1ドリンク付き)
予約:info@traumaris.jp
出演:queen crab(片山真理、山田岳男)
   ciseaux dor s(片山真理、中里正幸)
 
 
 
 
1/15(木)小谷元彦氏とのトークセッション  NEW!!
 
2/8(日)倉地久美夫スペシャルライブ  NEW!!
 
 
 
 
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『you're mine』
 
私たちは人のかたちを真似て、世界に紛れ込みます。
私はあなたになります。
—片山真理
 
 
 
TRAUMARIS|SPACEでは、片山真理の初個展を開催します。
 
片山真理(1987年生まれ)は、9才のとき先天的な理由で両足を切断し、義足で生活をしています。
彼女の作品世界は、その足と義足との関わりなしには存在し得ません。群馬の実家で生きるための技術や資格を身につけていた頃から、日々、内面的・身体的に成長する自分と自身を取り巻く世界との関わりを作品化し続けてきました。
 
 
 母はとにかく手に職をと願い、商業高校で会計士にもなれるスキルを身に  
 つけました。でも最初に東京へ呼んでくれたキュレーターをはじめ、『好き
 なことをすればいいんだよ』とゆっくり見守ってくれた人たちが、私をい
 ちばん生きやすい場所に導いてくれました。特徴をもって生まれた自分は
 ラッキーとしか言いようがありません」(片山)。
 
 
群馬青年ビエンナーレで審査を務めたキュレーターの故・東谷隆司に出会い、制作活動を続けるよう励まされた片山は東京藝術大学大学院に進学。
2010年には東谷氏のキュレーションによる「identity, body it.」(nca)に参加。さらに「アートアワードトーキョー丸の内2012」でグランプリを受賞し、出品作を2012年「自由について2」(TRAUMARIS|SPACE)で再構成して発表しました。2013年には「KISS THE HEART#2」(伊勢丹新宿店)、「あいちトリエンナーレ2013」に最年少で参加しています。
 
フェミニンな装飾をほどこした少女時代の義足や小さなハイヒールのオブジェなど、親密な品々でびっしりと飾られた居心地のいい部屋を再現するインスタレーション。
制作の合間に煙草をふかす、くつろいだセルフポートレート。
特注したハイヒールの義足を着けて約190cmという迫力のプロポーションを生かしたパフォーマンス。
すべての作品は、生まれもった特別な身体を媒介に、これまでの人生で身につけた生活の知恵と想像力から生まれたクリエイションでした。
 
私小説的に綴られてきた作品の表現はしだいに広がりを見せます。
「揺れる大地」をテーマに掲げた「あいちトリエンナーレ」で発表した映像作品では、ハイヒールの義足で街を闊歩する自身の姿を「巨女」に喩え、持ち味であるちょっと毒のきいたユーモアで、地上2m近くから、私たちの緩んだ危機意識に警鐘を鳴らしました。
 
 
 デカすぎて誰とも視線が合わないんです。小さい人も大きい人もみんな同じ
 に見えて、違いがわからない。でもこのフラットな感じ、以前の車椅子から
 見上げてた視点と同じだったんだなと思い出しました。(片山)
 
 
自身を包み込むシェルターのようなインスタレーションをいったん卒業した片山は、本展のために、分身ともいえる1体の人形を制作しました。
新作『you’re mine』は、作家自身の身体と、他人の足を型取りをした石膏像になめし革のパッチワークを施した立体と、それを使用したポートレート写真で構成されます。
足の石膏像とポートレートは、2014年秋、アーツ前橋の滞在制作で行ったワークショップで制作されたものです。様々な人の足を型取りし、その足を装着したセルフポートレートとなっています。
 
 
 私は今まで自身の身体をなぞる行為、「ポートレート」を制作してきました。
 それは自分と他人を知ることであり、社会との繋がりの象徴でした。
 群馬は私の故郷であり、初めて人や社会と関わりをもったところです。ここ
 で私は人と自分の違いを知り、その人たちになりたいと思いました。
 足首とつま先のターン、踵で踏み込むタイミング、重力、全てが魅力的に見
 えました。そして、他人の足をよく観察して、歩き方を盗んでいったのです。
 おかげで私は杖なしで歩けるようになれましたし、気分やファッションで歩
 き方を選べることさえ出来るようになりました。そして世界に紛れ込むこと
 ができました。
 この作品の行き着く先は、自己の消滅か、どこかの誰かとして世界の一員に
 なることか、それともその全てになることか? 
 分からないまま、今日もいつも通り生きて、制作しています。飽きもせず、
 自分のポートレートであるのは間違いないけれど、何かがちょっとひらけた
 気がするのは気のせいでしょうか……(片山)
 
 
2013年には、フランス・マルセイユでダンスカンパニー「BABY Q」のパフォーマンス公演と仏ブランドのファッションショーに出演。2014年は、NHK『バリバラ!』でのインスタレーション作品発表、同番組制作のドラマ『悪夢』出演と、片山真理の表現活動はさらに領域を広げています。
原点である造形作品とセルフポートレートが、世界との緩急豊かな関わりによってどのように変化したか。
ぜひともご高覧いただき、各種メディア、ブログ、Facebook、Twitterなどで広報周知にご協力をお願い申し上げます。
 
 
アートプロデューサー・ライター
TRAUMARIS主宰
住吉智恵
 
 
 
●会場:
 
TRAUMARIS|SPACE
〒150-0013 渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F
TEL 03-6408-5522 月火休
13:00-24:00(日曜14:00-22:00)
URL:http://www.traumaris.jp 
問合せ:info@traumaris.jp
 
 
 
●会期中のイベント
 
 
2015年
 
1月15日(木)
小谷元彦×片山真理トークセッション
19:00〜20:00
1000円(1drink付)
予約:info@traumaris.jp
 
片山真理の東京藝大大学院の恩師であり、
先頃,京都芸術センターで行われた個展では
初のコラボレーションワークを手がけた
美術作家・小谷元彦氏を迎えてのトークです。
小谷くんがデビュー以来、探求し続けてきた
彫刻における「欠落」と人体の関係というテーマ。
それをいわば具現化する存在である片山との対話から
新たに炙りだされる「身体性」とは?
長年にわたる創作の秘密に迫ることができるのか?
ご期待ください。
 
 
2月8日(日)
「倉地久美夫 ソロライヴ @片山真理展」
14:30開演 
2300円+1drink order
予約:info@traumaris.jp
 
倉地さんが休日にとんぼ返りでソロ公演に来て下さいます。
めったに聴けない機会、ぜひともお立ち会いを!
 
 
2014年(終了)
 
12/17(水)18:00-22:00 オープニングパーティ
12/19(金)20:00-late  歳忘れ!80sNIGHT☆
12/24(水)TRAUMARISのクリスマス会
       queencrab(片山真理・山田岳男)アコースティックライブ
12/25(木)彌彌乎 タロット鑑定
12/27(土)BABY Q バーレスク忘年会
 
 
 
 
● プロフィール
 
片山真理 Katayama Mari
 
http://shell-kashime.com 
 
1987年埼玉県で生まれ、群馬県で育つ。
2010年、群馬県立女子大学文学部美学美術史学科卒業。2012年 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。
2005年群馬青年ビエンナーレ’05 奨励賞(群馬県立近代美術館)受賞。2012年「アートアワードトーキョー丸の内2012」グランプリ受賞。
 
主なグループ展
2006年「日本アンデパンダン展」(東京都立美術館)
2010年「identity, body it.」(nichido contemporary art, 東谷隆司キュレーション)
2011年「CunCun」展(ギャラリーコンシール渋谷)
2012 年 東京藝術大学先端芸術表現科 卒業・修了制作展(BankART Studio NYK)
    「アートアワードトーキョー丸の内2012」
    「自由について2 メガネ 片山真理」(TRAUMARIS|SPACE)
2013年「KISS THE HEART#2」(伊勢丹新宿店)
    「あいちトリエンナーレ2013」。
     アーツ前橋 地域アートプロジェクト(竪町スタジオ、前橋)
 
 
そのほかの活動
2005年 バンタンデザイン研究所 卒展ファッションショー出演
2010年「アンコントロー・ラブ!」(TRAUMARIS|SPACE)出演
2011年「amputee cabaret 切断女の夜」(ネイキッドロフト)企画・出演
2011/2012年「デパートメントH 2099」(東京キネマ倶楽部)出演
2011年 日本義肢装具学会学術大会ファッションショー出演
2011年 青山学院大学・エリア文化論 ゲスト講師
2012年 映画「ヘルタースケルター」(蜷川実花監督)出演
    「自家発電ナイト」出演(TRAUMARIS|SPACE)
2013年「狂った帽子屋のティーパーティ」出演(TRAUMARIS|SPACE)
     BABY Qパフォーマンス公演出演(仏マルセイユ)
2014年「自家発電ナイト」出演(TRAUMARIS|SPACE)出演
     NHK Eテレ バラエティ『バリバラ!』出演
     NHK Eテレ ドラマ『悪夢』出演
    小谷元彦作品《Terminal Impact(featuring Mari Katayama 
    “tools”)》制作協力
 
 
 
 
掲載記事のご紹介:
 
 
2014年末発行の編集者・写真家 都築響一さんのメールマガジン
「ROADSIDERS' WEEKLY」編集後記にて,
取材掲載していただいた記事を引用させていただきます。
片山真理の制作活動の本質を突いたテキストをご一読ください。
 
 
 
 

アフターアワーズ:編集後記

今週も最後までお付き合いありがとうございました。気に入っていただけた記事、あったでしょうか。
(中略)
今週は告知も7本もあり、これ以上は・・・という状態なので、この場でもうひとつだけ、興味深い展覧会のお知らせを。

おなじみ恵比寿NADiffのビル3階にある「TRAUMARIS|SPACE」では、ただいま『片山真理展 you're mine』を開催中です(2月15日まで)。

 

 

1987年生まれの片山さんは、9歳のときに両足を切断。しかしそのハンデを「特徴を持って生まれた自分はラッキー」と捉えなおし、東京藝大大学院在学中の2010年からアーティスト活動を開始。2012年には『アートアワードトーキョー丸の内2012』、2013年には『あいちトリエンナーレ2013』に最年少で参加。さらに今年はテレビ番組などへの出演もあり、すでにおなじみの方も多いのでは。

これまでみずからのからだとこころと日々の時間を、濃密なインスタレーション空間に凝縮する作業に没頭してきた片山さんが、今回のために制作された新作『you’re mine』では、他者の存在を滑りこませ、あらたな展開へと踏み出しつつある姿を見せてくれます。

今年秋、アーツ前橋の滞在制作で行われたワークショップで、様々なひとの足を型取りした石膏像に、なめし革のパッチワークを施した立体と、その足をみずからが装着したポートレートの組み合わせが『you’re mine』――「わたしはあなたになり、あなたはわたしになる」ということでしょうか。

私は今まで自身の身体をなぞる行為、「ポートレート」を制作してきました。それは自分と他人を知ることであり、社会との繋がりの象徴でした。

群馬は私の故郷であり、初めて人や社会と関わりをもったところです。ここで私は人と自分の違いを知り、その人たちになりたいと思いました。

足首とつま先のターン、踵で踏み込むタイミング、重力、全てが魅力的に見えました。そして、他人の足をよく観察して、歩き方を盗んでいったのです。

おかげで私は杖なしで歩けるようになれましたし、気分やファッションで歩き方を選べることさえ出来るようになりました。そして世界に紛れ込むことができました。

この作品の行き着く先は、自己の消滅か、どこかの誰かとして世界の一員になることか、それともその全てになることか? 

分からないまま、今日もいつも通り生きて、制作しています。飽きもせず、自分のポートレートであるのは間違いないけれど、何かがちょっとひらけた気がするのは気のせいでしょうか……
(展覧会サイトより)

 


 

2012年5月6日、鶯谷「東京キネマ倶楽部」における「デパートメントH」のステージ

 

アートアワードトーキョー丸の内2012

 

片山真理の存在を知ったのは2012年5月、「デパートメントH」でのステージでした(5月9日号で配信しているので、バックナンバーを御覧ください)。その直後には「アートアワードトーキョー丸の内2012」でのグランプリ作品も見て、アーティストとパフォーマー、ふたつの面を知ることができたのですが、それからの片山さんはあれよあれよという間に注目の存在となり、さまざまなメディアで取り上げられるようになり、そうして2014年の活動のシメがこの個展になるわけです。

 


 


 


 

 

ただ、メディアへのデビューがあまりにもセンセーショナルであったために、片山真理を「他人とちがう身体を武器にしたアーティスト」という短絡的なイメージで見てしまうひとが少なくないことも、また事実かもしれない。それが僕には残念です。

たとえば先週取り上げた小松葉月における「いじめ」や「潔癖症」もそうだったし、先月の写真家・木原悠介における「ダクト清掃」という過酷な環境も、片山真理におけるからだの欠損もまた、表現することを通して、硬い殻の中の自分と、その外側に果てしなく広がる世界との回路を開くためのきっかけにすぎない。ほんとうに大切なのは、そこから始まっていく作品世界のほうなのだと僕は思うし、そうでなければ人前にみずからを晒す意味が、どこにあるでしょうか。

片山真理というユニークな作家を、それこそ「裸眼で」見るために、今回の小さな展覧会に足を運んでいただけたらと願います。

 

 

片山真理展 you're mine
2月15日(日)まで開催中(12月28日~1月6日:冬季休業)
@TRAUMARIS|SPACE
http://www.traumaris.jp

 
 
 
 
 
 
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