企画展「自由について 2」
@Katayama Mari
出展:メガネ(発電ポールダンス)
片山真理(写真とインスタレーション)
企画:住吉智恵(アートプロデューサー・ライター)
会期:2012年10月4日(木)~11月4日(日)
オープニングレセプション:
10月4日(木) 18:00-22:00
TRAUMARIS恵比寿リニューアル2周年パーティ:
10月6日(土) 18:00-23:00
昨年に続き「自由について2」という、あえてナイーヴなタイトルを冠した展示を企画しました。この数年、また震災後1年半を経過した今も、個人的にとても関心があるテーマです。この国で、これほど「自由」を意識した時代は、戦後久しくなかったのではないでしょうか。その現代に生き、それぞれ特異な立脚点から、彼女たちにしか得られない「自由」を獲得しようとしている、2人のアーティストにフォーカスします。
ダンサーであり、衣装デザイナーでもあるメガネは、元来、性的な対象であるポールダンスの枠から大きくはみ出し、自作の覆面レスラー風コスチュームにメガネという姿で、アグレッシブかつセクシーなパフォーマンスを展開。2010年からは、現代美術家・宇治野宗輝、人力発電のエキスパート・板野尚吾の技術協力により開発した、世界初の「発電するポールマシン」を駆使、すてきな自給自足ライフの実現をめざしています。
黒パイプ、ASA-CHANG&巡礼「アオイロ劇場」への出演、コンテンポラリーダンサー・鈴木美奈子とのユニット「アンコントローラブ!」としての活動、さらに震災後、電力供給の不安が高まる2011年3月には、TRAUMARIS|SPACEにて「自家発電ナイト1」を企画。明和電機、珍しいキノコ舞踊団、山川冬樹など10組のアーティストたちのため、7時間断続的にポールを回し続け、電飾やラジカセをフル稼働する微弱電力を発電しました。
身体1つで表現できるダンサーやパフォーマンスアーティスト、音楽家たちに、飛び入り参加もふくめて出演を募り、「インフラなき社会では非力だが、決して無力ではない」(山川冬樹MCより)ライヴパフォーマンスの底力を身体をはって伝えました。そうした活動から同年「岡本太郎現代芸術賞 特別賞」を受賞。
本展の会期中には新たな出演者を迎えて、「自家発電ナイト2」を開催いたします。
東京藝術大学大学院を修了したばかりの片山真理は、特別に生まれもった身体の特徴と、開かれたイマジネーションという個性を発揮し、自身を取り巻く世界とのかかわりを、デリケートで詩的な造形や写真に表現してきました。愛する物たちにくるまれた居心地のいい個室で、少女の頃の義足や小さなハイヒールを身に着けた、親密さに満ちたセルフポートレート。両足の義足と、義足用に特注したハイヒールを着けて180cmという迫力のプロポーションを生かしたパフォーマンス。幼少の頃からの思い出の断片をオイル漬けにした、おびただしい数の瓶詰め。
本展では「アートアワードトーキョー丸の内2012」でグランプリを受賞した作品を再構成し、まるで異国へ嫁ぐ王女が砂漠を旅するための豪奢な輿と野営の天蓋を思わせるような、ロマンティックな新作インスタレーションを展開します。
メガネと片山真理。奇しくも姉妹のようによく似た2人の、
力強く、のびやかで、インディペンデントな表現にご注目ください。
生きているかぎり、自由に呼吸し、踊って、歌っていたい。野の鳥のようにシンプルでささやかな「自由意思」を持って生きるために、人は環境、態度、技術を磨き、整えています。
私たちはときにそれを芸術家の所作に倣うこともあるはずです。
TRAUMARIS アートプロデューサー・ライター
住吉智恵
●会場:
TRAUMARIS|SPACE
〒150-0013 渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F
TEL 03-6408-5522 月曜休
16:00-24:00(日曜14:00-22:00)
URL:http://www.traumaris.jp
●問合せ:info@traumaris.jp
●会期中のイベント〈1〉
自家発電ナイト2
10月27日(土)
15:00 OPEN 16:00 START
23:00 CLOSE
entrance: 3,000 yen(+1drink order)
*出演者、タイムテーブル、入場料は随時更新します。
http://traumaris.jp/space/2012/09/1027.html
プログラム(仮)
15:00 DOOR OPEN
15:30 オープニングアクト:DJぷりぷり
長谷川宝子(舞踏 from 渋さ知らズ)
アンダーウエアー(カラオケ)
国広和毅(弾き語り)
スメリー(パフォーマンス)
片山真理(パフォーマンス)
宇治野宗輝(パフォーマンス)
百人ハノン(ダンス)
プリミ恥部&かすみ(ポールダンス)
長井江里奈(ダンス from まことクラヴ、大人ディスコあけみ)
トンデ空静 こと松原東洋(舞踏)
ケンジル(ダンス from BABY-Q)
青山健一(ライヴペインティング from 渋さ知らズ)
川村美紀子(ダンス)
向雲太郎(舞踏)
スズキ拓朗+??(ダンス from コンドルズ)
ほか
このイベントの入場料の一部と、
ご賛同いただいたアーティストの出演料の一部は、
福島県南相馬市の子供たちを長野県のリゾート施設に招き、
新鮮な空気や土壌、安全な食べもの、ワークショップを提供することで
不安な生活のなかにわずかでも彩りを感じてもらうための
支援プロジェクト「Live! Colorfully」
http://www.facebook.com/groups/livecolorfully/?ref=ts&fref=ts
の活動に寄付する予定です。
ご理解とご賛同をどうぞよろしくお願い申し上げます。
(住吉智恵 TRAUMARIS主宰/アートプロデューサー)
●会期中のイベント〈2〉
山川冬樹 × 高橋恭司
ライヴ&トークセッション
10月26日(金)19:30
共催:NADIff gallery
● 作家プロフィール
メガネ(西岡七歩子)
既存のポールダンスの枠からはみ出したオルタナティブポールダンサー。性の対象となり得るポールダンスというジャンルにおいて、メガネという芸名、自作の異色なコスチューム…個人の情報を極力排除したその姿で、観る者の妄想を掻き立て、アグレッシブかつセクシーな、パフォーマンスを行う。また、黒パイプでのダンサー、即狂ドラマーHIKO(from GAUZE)との秒殺DUO 「蟷螂婦人」等ミュージシャンとのセッション。クエンティン・タランティーノ監督「デスプルーフ」公開記念イベント、ASA-CHANG&巡礼 JUNRAY DANCE CHANG 『アオイロ劇場』出演。恵比寿MAGIC ROOM??での毎月のSHOWなど幅広く活動。2010年、現代美術家・宇治野宗輝、人力発電のエキスパート・板野尚吾の技術協力により「発電するポールダンスマシン」を開発し、コンテンポラリーダンサーの鈴木美奈子とユニット「アンコントロー・ラブ!」を結成。「メガネの硝子の部屋」(Ustream映像配信)、「あたらしいくらし」(原宿VACANT)、「アンコントロー・ラブ!」(TRAUMARIS|SPACE 共演:伊東篤宏、片山真理、宇治野宗輝)など。2012年「自家発電ナイト」企画出演(TRAUMARIS|SPACE)。同年、岡本太郎現代芸術賞・特別賞を受賞。
撮影:ただ(ゆかい)
片山真理
1987年埼玉県生まれ、群馬県で育つ。2010年、群馬県立女子大学文学部美学美術史学科卒業。2012年 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。2005年群馬青年ビエンナーレ’05 奨励賞(群馬県立近代美術館)受賞。2012年「アートアワードトーキョー丸の内2012」グランプリ受賞。主な展示に、2006年「日本アンデパンダン展」(東京都立美術館)、2010年「identity, body it. 」(nichido contemporary art, 東谷隆司キュレーション)、2011年「CunCun」展(ギャラリーコンシール渋谷)、2012 年東京藝術大学先端芸術表現科 卒業・修了制作展2012(BankART Studio NYK)、2012年「アートアワードトーキョー丸の内2012」など。自身の企画により2011年「amputee cabaret 切断女の夜」(ネイキッドロフト)開催・出演。そのほかの活動に、2005年 バンタンデザイン研究所 卒展ファッションショー、2010年「アンコントロー・ラブ!」(TRAUMARIS|SPACE)、2011/2012年「デパートメントH 2099」(東京キネマ倶楽部)、2011年 日本義肢装具学会学術大会ファッションショー、2011年 青山学院大学・エリア文化論 ゲスト講師、2012年 映画「ヘルタースケルター」(蜷川実花監督)などへの出演がある。
@Katayama Mari
片山真理 インスタレーション風景(アートアワードトーキョー丸の内 2012)