2013年4月アーカイブ

 

 


赤木 仁 個展

あなたまはや みたに ふたわたらす


会期:2013年6月19日(水)〜7月21日(日)
   オープニング 6月20日(木)18:00〜21:00

 

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AZUCHI百六十一
あなたまはや みたに ふたわたらす35
2008-2011年
 
 
 

TRAUMARIS|SPACEでは、画家・赤木仁の6年ぶりの個展を開催します。2007年の「AZUCHI あたまいっぱいの鹿」展(リトルモア地下、原宿)以来 久しぶりの新作展となります。

タイトル「あなたまはや みたに ふたわたらす」とは、古事記に遺る、神の現われを歌った現存する最古の歌の1つです。

 

  青い空に 炎にのって 三つ頭の鹿が現われる 

  古い歌のように 何度も何度も 

  今日現われたものは 次に現われるものと同じかは知れない。

 

  この連作は、資生堂「花椿」2008年3月号に掲載された1作目より、  

  2013年の今もなお続き、56作目まで描かれています。

  この歌は、古事記の神代記の一場面で下照姫が歌ったものです。

  ただ、これを思って描きはじめたものではなく、この歌を知ることによっ

  て、独自に始めたこの連作で何を描こうとしているのかを知ったのです。

  これらの絵に描かれているのは神そのものではありません。

  ある条件での、現われの感覚を画にしたものなのです。

  空を見上げるのが好きで、毎日何度でも見上げます。

  三つ頭の鹿が炎にのって空に浮かんでいるから、神なのではありません。

  では、炎が神なのか、それでもありません。

  気配をとらえたいのです。

  そして、それは空のどこに現われるのか。北と南、あるいは東と西。

  だから方位も大事なものの1つです。

  (赤木 仁)

 

2007年に出版された「AZUCHI あたまいっぱいの鹿」(リトルモア)に集められた、あどけない多頭の鹿は、赤木が長年よどみなく描き続けているモチーフです。
炎にのって空に浮かぶ、神の現われの予兆のようなこの鹿は、近年の作品では入り組んだ山脈を漂ったり、純白の背景にぽっかりと出現したり、あるいは鱗のような雲のみがむくむくと湧き出ていたりと、さまざまな様相を見せます。
いにしえの世の人々がおそらくは日常にとらえていた、森羅万象に遍く宿る「神々」の霊感のようなものを、画家は繰り返し何度でも描くことによって、愚直なまでに鋭敏に、画布に定着させようとこころみます。

長年にわたり描きためていた膨大な点数の作品から、選りすぐった十数点をまずはご覧いただきます。本展はシリーズで今後も各所に巡回の予定です。
ぜひともご来場いただき、各種メディア、ブログ、Facebook、Twitterなどで、広報にもご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。
 

TRAUMARIS アートプロデューサー・ライター
住吉智恵

 

プロフィール:
 

赤木 仁  akaki zin
 

1957年石川県生まれ。画家・金子國義に師事。これまでの主な個展に1993年「箱展」(Space yui)、1997年「火の番」(成山画廊)、2004年「緑桃-GREEN PEACH -羽衣・みづち」(リトルモアギャラリー)、2007年「AZUCHI あたまいっぱいの鹿」(リトルモア地下)などがある。またフリーランスで雑誌、新聞の挿絵、単行本の表紙のイラストやデザインなど手がけている。また画集に、2000年「洪水の前」(美術出版社)、2007年「AZUCHI あたまいっぱいの鹿」(リトルモア)がある。初個展以来、10才までの銅山跡での体験を神話化した作品を描き続けている。

 

出版物

関連芸術書

1990年 ミュージシャン・コシミハルとのコラボレーション
    CD BOOK「心臓の上」ファンハウス

1995年 画家・金子國義氏とコラボレーション版画集「鹿の声」

 

作品集

2000年 初の画集「洪水の前」(美術出版社)

2007年 絵巻物「AZUCHI あたまいっぱいの鹿」(リトルモア)

 

個展

1993年「箱展」Space yui

1994年「箱展2」graphic station

1996年「Noli me tangere 我にふれるな」西武百貨店渋谷店

1997年「火の番」成山画廊

1999年「未詳のお化けUnidentified Ghost」成山画廊

    「洪水の前 AVANT LE DELUGE」伊勢丹百貨店新宿店ファインア

    ートサロン 作品集「洪水の前」出版記念

2000年「赤木仁展:大阪 Galleria CENTENNIAL

2001年「赤木仁展」成山画廊

2002年「菊水」成山画廊

2004年「あたまいっぱいの鹿とお化け」デポ

   「緑桃-GREEN PEACH -羽衣・みづち」リトルモアギャラリー

2005年「積良 つぶら」ギャラリーDISC

2007年「AZUCHI あたまいっぱいの鹿」リトルモア地下

2009年「モンパルナスのリス」目で聴くコシミハルの音楽 リトルモア地下

2010年「赤木仁展1993-2010ここはどこで今はいつなのか 」リトルモア地下

2012年 ☆LIBRAIRIE6/シス書店 第10回企画~赤木仁「夜見るモノ」展☆

     LIBRAIRIE6/シス書店

 

会場:

TRAUMARIS|SPACE
〒150-0013 渋谷区恵比寿1-18-4
NADiff A/P/A/R/T 3F 
TEL 03-6408-5522 月曜休

火〜土16:00-24:00(日曜14:00-22:00)

URL:http://www.traumaris.jp
info@traumaris.jp

 

 

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AZUCHI百六十二
あなたまはや みたに ふたわたらす36
2008-2013年
 

 

 

eje 

ものおと/音溶け、今年も
 
eje  monooto / otodoke, this year again

 
5月7日(火)〜5月12日(日)
 
オープニング:5月7日(火) 19:00-22:00
 
 
 
 
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さまざまな事物を音でつなぐことを模索するユニット「eje」(エヘ)。

昨年、TRAUMARISとSUNDAY ISSUEで発表した作品「ものおと」が、

2013年度「第16回岡本太郎現代芸術賞」特別賞を受賞いたしました。

 

今年も爽やかな季節に、最新作を含む「ものおと」をご覧いただきます。

さらに、1〜2人用の小さな蚊帳のなかで、お茶と映像と音楽による

風変わりなもてなしを味わうパフォーマンス作品「音溶け」を

週末の全4回にわたり、上演いたします。

 

会場:

TRAUMARIS|SPACE

渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff APART 3F

03-6408-5522

16:00~24:00(日曜14:00~22:00)

月曜定休

 

音溶け パフォーマンス(要予約):


日時:5月11日(土) 15:00/19:00

    5月12日(日) 15:00/19:00

お代:2000円(1ドリンク込み)

定員:各回6組8名 (うち2組は2人用蚊帳にご案内します)

    *ご予約の際には

     1)日時 
     2)1人用蚊帳かあるいは2人用蚊帳か

     をかならずお伝えください。

予約:info@traumaris.jp

 


ものおと/音溶けについて。
 

 

お気に入りの音楽を携えて外へ出かけたとき、

いつもの町並みが、いつもの空が、映画の一場面のように

あざやかに映り、ときには涙ぐんだことはありませんか?

 

ejeの作品づくりは「この世の物事はすべて、

そのものだけでは虚ろな皮相に過ぎないのではないか」

という疑問から始まります。

彼らはその皮相同士を結び、無意識下に潜む記憶や感情を

紡ぐために最も適したメディアを「音楽」と考えます。

 

 

「ものおと」

 

目覚まし時計、ミニカー、辞書、こうもり傘、揺り椅子・・・

子供の時分からなじみ深い「もの」たちが

無造作に散らばった部屋がそこにあります。

何か1つ、手にとってみてください。

小さな孔を見つけたらイヤホンのプラグを挿してください。

 

川崎市立岡本太郎美術館での受賞記念展示では、

子どもにも大人気だったといいます。

きわめてパーソナルな「もの」と「おと」を、

美術館というパブリックな場で公開することで、

いろいろな思わぬ出来事が起こりました。
 

 

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「音溶け」

 

外界とのあいまいな皮膜としての蚊帳のなかで

映像と音楽のうつろいと共に、お茶の小宇宙を漂います。

 

  五感から染みわたり、浮遊しながら溶けていくなにか。

  それらは境目をうしない、自分自身も溶けていくような

  まどろみに引き込まれていきます。

  考えることをわすれて、感じながら味わう。

   「音溶け」は新しいひとときを与えるアートだと思います。
 

  三田村光土里(アーティスト)

 

白い箱から、あなたのティーバッグをひいてください。

ひとりずつ静かに、その部屋にお入り下さい。

蚊帳のなかに入って、ポットにお湯が注がれるのを

外の映像と音楽に、ただ心ゆだねてお待ち下さい。

お茶が湯に溶けだしたとき、茶葉のまにまに漂うのは? 

「音溶け」もまた形式的にカテゴライズするのがむずかしく、

またそれがみずみずしいといえる作品です。

お茶のもてなしの一連の時間の流れのなかに

そのとき、その人だけの、心映えの景色が見えてくる。

スペースに吊った薄い蚊帳のなかで

各回8名(6組)の方だけがひそやかな風景を体験します。


 

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きわめて個人的な「音溶け」と「ものおと」の体験は、

眠っていた感情や記憶を、水にひたすように甦らせ、

ずっと前からそこに存在するような錯覚さえもたらします。

密やかで、親密な驚きに満たされる、そのひとときは

目の前の世界を新しい色あいに変化させ、

それはたった1つでありながら、1人1人にゆきわたります。

 

TRAUMARIS アートプロデューサー・ライター

住吉智恵

 

 

artist’s statement

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{音溶け}

 

あなたには、あなたの蚊帳に入っていただきます

そこに1杯のお茶が注がれ、茶葉は徐々に染み出します

 

でもね

 

染み出したのはほんとうにお茶だけかしら?

 

 

 

eje (エヘ)とは

 

人は、いつも見ている空にも、

音楽を付けただけで涙することがあるそうです。

 

という事は、ある事物は、それ単体ではまだ皮相にすぎないのではないか?

ある事物と、体験者との関係性から生まれたものが本質ではないか。


ejeとは「軸」を意味します。

 

空と体験者との関係性から生まれたものこそが軸(本質)であり、

空はただの皮相に過ぎない。

 

私たちejeにとって作品は皮相でしかなく、

ある事物と体験者の関係性から生まれるものを軸(本質)として試行して行きます。

 

http://www.e-j-e.com/

 

 

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