ものおと/音溶け、今年も
さまざまな事物を音でつなぐことを模索するユニット「eje」(エヘ)。
昨年、TRAUMARISとSUNDAY ISSUEで発表した作品「ものおと」が、
2013年度「第16回岡本太郎現代芸術賞」特別賞を受賞いたしました。
今年も爽やかな季節に、最新作を含む「ものおと」をご覧いただきます。
さらに、1〜2人用の小さな蚊帳のなかで、お茶と映像と音楽による
風変わりなもてなしを味わうパフォーマンス作品「音溶け」を
週末の全4回にわたり、上演いたします。
会場:
TRAUMARIS|SPACE
渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff APART 3F
03-6408-5522
16:00~24:00(日曜14:00~22:00)
月曜定休
音溶け パフォーマンス(要予約):
日時:5月11日(土) 15:00/19:00
5月12日(日) 15:00/19:00
お代:2000円(1ドリンク込み)
定員:各回6組8名 (うち2組は2人用蚊帳にご案内します)
*ご予約の際には
1)日時
2)1人用蚊帳かあるいは2人用蚊帳か
をかならずお伝えください。
ものおと/音溶けについて。
お気に入りの音楽を携えて外へ出かけたとき、
いつもの町並みが、いつもの空が、映画の一場面のように
あざやかに映り、ときには涙ぐんだことはありませんか?
ejeの作品づくりは「この世の物事はすべて、
そのものだけでは虚ろな皮相に過ぎないのではないか」
という疑問から始まります。
彼らはその皮相同士を結び、無意識下に潜む記憶や感情を
紡ぐために最も適したメディアを「音楽」と考えます。
「ものおと」
目覚まし時計、ミニカー、辞書、こうもり傘、揺り椅子・・・
子供の時分からなじみ深い「もの」たちが
無造作に散らばった部屋がそこにあります。
何か1つ、手にとってみてください。
小さな孔を見つけたらイヤホンのプラグを挿してください。
川崎市立岡本太郎美術館での受賞記念展示では、
子どもにも大人気だったといいます。
きわめてパーソナルな「もの」と「おと」を、
美術館というパブリックな場で公開することで、
いろいろな思わぬ出来事が起こりました。
「音溶け」
外界とのあいまいな皮膜としての蚊帳のなかで
映像と音楽のうつろいと共に、お茶の小宇宙を漂います。
五感から染みわたり、浮遊しながら溶けていくなにか。
それらは境目をうしない、自分自身も溶けていくような
まどろみに引き込まれていきます。
考えることをわすれて、感じながら味わう。
「音溶け」は新しいひとときを与えるアートだと思います。
三田村光土里(アーティスト)
白い箱から、あなたのティーバッグをひいてください。
ひとりずつ静かに、その部屋にお入り下さい。
蚊帳のなかに入って、ポットにお湯が注がれるのを
外の映像と音楽に、ただ心ゆだねてお待ち下さい。
お茶が湯に溶けだしたとき、茶葉のまにまに漂うのは?
「音溶け」もまた形式的にカテゴライズするのがむずかしく、
またそれがみずみずしいといえる作品です。
お茶のもてなしの一連の時間の流れのなかに
そのとき、その人だけの、心映えの景色が見えてくる。
スペースに吊った薄い蚊帳のなかで
各回8名(6組)の方だけがひそやかな風景を体験します。
きわめて個人的な「音溶け」と「ものおと」の体験は、
眠っていた感情や記憶を、水にひたすように甦らせ、
ずっと前からそこに存在するような錯覚さえもたらします。
密やかで、親密な驚きに満たされる、そのひとときは
目の前の世界を新しい色あいに変化させ、
それはたった1つでありながら、1人1人にゆきわたります。
TRAUMARIS アートプロデューサー・ライター
住吉智恵
artist’s statement
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{音溶け}
あなたには、あなたの蚊帳に入っていただきます
そこに1杯のお茶が注がれ、茶葉は徐々に染み出します
でもね
染み出したのはほんとうにお茶だけかしら?
eje (エヘ)とは
人は、いつも見ている空にも、
音楽を付けただけで涙することがあるそうです。
という事は、ある事物は、それ単体ではまだ皮相にすぎないのではないか?
ある事物と、体験者との関係性から生まれたものが本質ではないか。
ejeとは「軸」を意味します。
空と体験者との関係性から生まれたものこそが軸(本質)であり、
空はただの皮相に過ぎない。
私たちejeにとって作品は皮相でしかなく、
ある事物と体験者の関係性から生まれるものを軸(本質)として試行して行きます。
http://www.e-j-e.com/