終了 川上和歌子「赤い風船 白いコロナ」

 

 

川上和歌子展
「赤い風船 白いコロナ」
 
 
 
2014年9月17日(水)〜10月12日(日)
オープニングレセプション:9月17日(水)19:00-22:00
 
 
 
 
 
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TRAUMARIS|SPACEでは、1990年代より活動に注目してきた
アーティスト・川上和歌子の個展を開催いたします。

ひとの分魂として神社でお焚き上げされる
形代(かたしろ)を思わせる、頭のない「ひとがた」。
作家自身の姿を模した、表情のないおかっぱの人形。
作家の等身大のサイズに巨大化された、色とりどりのインコ。
 
川上和歌子は、かわいらしい姿形にどこか虚無感を漂わせる
布をつかった人形を集積したインスタレーションを展開してきました。
そのポップでファンシーな風景の向こう側に、
日常のなかでいつのまにか蓄積されている空虚な人間関係や、
寄り添わざるをえない家族やコミュニティの群れを
透かし見るような思いにさそわれます。
 
本展では、近年増殖し続けているインコのシリーズから
赤と白の巨大インコが壁をぎっしりと埋め尽くす、
胸騒ぎ必至のインスタレーションを発表します。
太陽エネルギーを象徴する、うごめきひしめきあう赤いインコの群れ。
未来のいつか燃え尽きて灰と化す、空っぽの白いインコの群れ。
かわいい小鳥たちが圧倒的な物量感で存在する光景は、
生理的なインパクトとこみ上げる笑いともに、
いい知れない不安と清々しさのアンビバレントな感情を残すはずです。
 
 
住吉智恵
TRAUMARIS主宰・アートプロデューサー・ライター
 
 
 
artist's statement
 
 
インコが好きです。
子どものころ、長い間セキセイインコを飼っていました。
思い出すのは、友達の家のインコが、
ある日カゴから逃げて帰ってこなかったこと。
インコは本来、群れをなして生きる鳥で
ひとりではさびしくて、耐えられないのだそうです。
逃げたインコも、家族や仲間をつくり、生きたのでしょうか。
小さなインコ、いわゆるリアルな大きさでつくっても納得ができず
いろいろな大きさをくりかえすうち、こんなに大きくなりました。
気がつくと、自分の等身大のインコが出来上がっていました。
つまるところ、命の実感がともなうのは
自分自身の大きさなのかなあと 感じています。 
 
 
新作「赤い風船 白いコロナ」について
 
 
小学4年生のときに買ってもらった
天体写真集「星空の四季(藤井旭 著)」に
太陽の表面の写真がでているのですが、
そのざわざわと真っ赤に燃えたぎっている様子が、
インコがぎゅうぎゅうにうごめているようにもみえて、
太陽のイメージと赤いインコが群れになっているイメージが重なるのです。
 
太陽が燃えているようにみえるのは、炎ではなくて水素ガス。
水素は毎秒ごとにヘリウムにかわり、
太陽は確実に400万トンずつ軽くなっている。
この減った重さが熱と光に姿をかえて、恩恵をもたらしているそうです。
やがて燃料の水素を使い果たし、中心にヘリウムばかりがたまると、
太陽は風船をふくらますようにどんどんふくれはじめ、
地球をものみこむ巨大な星になり、
果ては宇宙の中に消えていくであろうと書かれてあります。
 
今回登場する白いインコは、わたしにとっては虚無の存在。
赤いインコが表面で燃えたぎる一方で、
爆発をくりかえしながら、からっぽになっている。
命をもたらすほどのエネルギーの裏側で、
虚無に向かっているイメージをインコたちに託しました。
 
川上和歌子
 
 
 
会場:
 
TRAUMARIS|SPACE
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿 1-18-4 NADiff apart 3F
TEL:03-6408-5522
 
開廊時間:水曜〜土曜 13:00 - 24:00(カフェは18:00から) 
     日曜 14:00-22:00
 
休廊日:月曜`・火曜
 
http://www.traumaris.jp
e-mail:info@traumaris.jp
 
協力:パトロンプロジェクト
 
 
*9/18(木)夜は会員制のディナーのためカフェがご利用いただけません。
 
*9/21(日)14時〜15時はダンサー・川口隆夫による
 ヌードのパフォーマンス&デッサン会がありますのでご注意ください。
 
 
 
 
PROFILE
 
 
川上和歌子 Wakako Kawakami 
 
 
1969年 大阪府生まれ
1992年 武蔵野美術大学短期大学部専攻科美術専攻修了
1995年 作品を発表し始める
1999年「BABY MILK SHAKE」銀座3画廊個展同時開催
2000年「Morphe2000亜細亜遺伝子」アニヴェルセル表参道
    「CHARAMIX.com 文化庁メディア芸術祭企画展」恵比寿ガーデンプレイス
2001年「亜細亜散歩-CUTE-」水戸芸術館
2013年「新宿クリエイターズ・フェスタ2013 
    都市のユーモア展(北川フラム監修)」新宿野村ビル
ほか個展、グループ展多数。
 
※詳細はHPにもございます。
http://www015.upp.so-net.ne.jp/wakako/profile.htm
 
 
 
 
 
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