池田光宏 展
Blue Moment
会期:2014年11月20日(木)~12月14日(日)
11月22日(土)18:00~21:00 オープニング
会場:TRAUMARIS|SPACE(NADiff 3F)
会期中のイベント:
トークセッション
11月23日(日)17:00〜18:30
出演:三田村光土里(アーティスト)池田光宏(展示作家)
アートカレー部主催「カレーの市民」
12月13日(土)17:00〜20:00
TRAUMARIS|SPACEでは、池田光宏の2回目の個展を開催します。
人影が窓辺に浮かび上がるトロンプルイユ(だまし絵) 的な映像インスタレーション「by the Window」をはじめ、近年では蛍光色のドローイングに刻々とうつり変わる光を照射した 映像インスタレーション「Blue Moment」など、さまざまな場所にほのかに暖かい幻影を出現させる作家・ 池田光宏の新作をご紹介します。
アートプロデューサー・ライター
TRAUMARIS主宰
TRAUMARIS主宰
住吉智恵
出展作品
「Blue Moment」
2014年 ビデオインスタレーション
鉛筆と蛍光色の絵の具を使ったドローイングに、プロジェクターでさまざまな色の光を当てることにより、原画の色あいが刻々と変化し、まるで動画のような効果を生み出します。
スウェーデンに滞在していた頃、夕陽の照射距離が長く、昼と夜のあいだの〈ブルーモーメント〉と呼ばれる黄昏の時間がゆっくりと続く北欧の気候を体験したことから、このアイデアが生まれました。
「この時間帯、昼間は親しみやすく美しい近所の森や町の建物は、
刻々と不気味さを帯びてきます。 夜の闇が訪れる頃にはいつのまにか
ものすごく怖い世界と化しています」(池田)
その昼と夜の世界の落差を表現したのが、照射する光と色の組合せによって、くっきりと輝いたり、青みを帯びたりと変化するインスタレーションでした。夏と冬では人の性格まで変わるといわれる北欧の暮らしのなかで 実感した「光への枯渇」もまたこの作品のモチーフとなりました。
「スタジオに籠り、窓辺で仕事をしていると、冬の日照時間が極めて短いため窓の外はずっと暗い。それはまるで潜水艦に乗っているような気分でした」(池田)
深海の生物が自ら発光する構造へと進化を遂げたように、人工的に発光する蛍光色はスカンジナビアのデザインやアートの表現に効果的に使われてきました。その背景は池田の作品にもいまなお色濃く反映されています。
新作では、今夏から秋にかけて公開制作を行った府中市美術館の周辺の風景の断片を描いてます。モチーフは、住宅、玄関前の置物、個人商店の看板、門扉の装飾、など、家の外観で、何かそこから住民の趣味や趣向が想像出来そうなものを切り取っています。
「このインスタレーションの特徴である蛍光色と光の関係性には、モチーフ1つ1つのイメージが固定されず、常にゆらぎの中にあり、私たちの視覚とイメージとの密接なかかわりが示されています。 『もちもちの木』という絵本の中で、1つの樹木が、〈ただの木〉→〈恐ろしい木〉→〈美しく光る木〉と視座によって変化する様があったように。
(前述の)固有色を信用できないというスウェーデンでの発見から、今回のプロジェクトまでの変化とは、その向こうにいる他者を意識して制作する試みでした」(池田)
Profile
池田光宏 Ikeda Mitsuhiro
1969年横浜市生まれ。日本大学芸術学部卒業。東京藝術大学大学院修了。2008年文化庁新進芸術家海外派遣研修員としてスウェーデンに滞在。長岡造形大学非常勤講師。
〈主な展覧会〉
2003年「越後妻有トリエンナーレ2003」 / 新潟
「こもれび展」水戸芸術館 / 茨城
「Moving Japanese」Kulturhuset Stockholm / ストックホルム、スウェーデン
2004年「カフェ・イン・水戸 2004」水戸芸術館 / 茨城
「府中ビエンナーレ2004」府中市美術館 / 東京
2006年「越後妻有アートトリエンナーレ2006」 / 新潟
2007年「by the Window G54.v」ギャラリー54 / ヨーテボリ、スウェーデン
2008年「After Hours」Askim Kulturhus / アッシム、ノルウェー
「AKASAKA ART FLOWER 08」 / 東京
「AOBA+ART 2008」 / 横浜
「Anonymous」Gallery Konstepidemin / ヨーテボリ、スウェーデン
2009年「ヨーテボリ・アートビエンナーレ・サテライト」Gallery Konstepidemin / ヨーテボリ、スウェーデン
2010年「Full Cause ・食と現代美術vol.6」BankART / 横浜
「ミマクル・ミラクル」府中市美術館 / 東京
「墨東まち見世・100日プロジェクト」 / 東京
2011年「黄金町バザール」 / 横浜
「AOBA+ART 2011」 / 横浜
2012年「六本木アートナイト2012」 / 東京
「あざみ野ナイト2012“HOME MADE HOME”」横浜市民ギャラリーあざみ野 / 神奈川
2013年「Hide and Seek」(第5回恵比寿映像祭/地域連携プログラム)