オープニング企画展
Miroir 小川敦生
Ogawa Atsuo solo exhibition
9月25日(土)〜11月20日(土)
オープニングパーティ:9月25日(土)18:00-20:00
解体オークション《cutter knife skating》&クロージング
:11月20日(土)19;00-21:00 協力:玉の肌石鹸
10数年前、自宅の電話台のメモに、無意識に残された「ナスカの地上絵」のような不可解な
文様を度々みとめるようになったとき、小川敦生の作品は形をとりはじめた。
「一筆描き」の均一な線描による細密なパターンは、紙の上にとどまらず、クラブの壁、海に
面した防波堤、透明なアクリルやガラス、もはや手に入れることの叶わなくなった象牙へと、
およそ軌跡を残すことのできる場所ならばどこへでも増殖していった。
その集積はしだいにグロテスクさを帯び、過剰なまでの装飾性をもちはじめる。同時に筆の
運びには、ストイックな「反復」と気まぐれな「変奏」が交互に現れる。それは雪の結晶や植
物の蔓が、宇宙の法則に従いながらも、環境の変化に順応し、刻々と成長する様にも通じ
ている。
おそらく描いている当人の内側は、目の前に表現される造形以上に、瞑想ともトランス(恍
惚)ともよべるような、有機的な運動を繰り返しているはずだ。その運動はときにミニマル&
アンビエントミュージックの即興演奏、という形をとる。
「刻々と変わりゆくもの、消えゆくもの」に興味がある、という彼のクリエイティヴな巡礼の旅
に、ぜひともどこかで触れていただきたい。
10年来、彼の活動を傍観してきたが、機は熟したと直感して本展を企画した。
マスキング剤と鉛筆による2種類の壁画のほか、2009年に老舗「玉の肌石鹸」の協力により
イタリア・ミラノで発表した、鏡にエングレーヴィングをほどこした作品もお披露目する。
また、同社とのコラボレーションにより実現した、東京都現代美術館MOTアニュアル2010
「装飾」展の出品作《cutter knife skating》。
美しい文様を刻んだ、この60cm四方の石鹸の作品は「消えもの」である。そこであくまで洒
落の気分で「解体ショウ」をひらいて、ご希望のかたにお譲りしたいと思う。
また会期中には、イキのいいダンサーや手練の音楽家たちも鏡の間に現れ、謎めいたパ
ターンの円環のなかでパフォーマンスを繰り広げる。幻惑の瞬間を、ご覧あれ!
(TRAUMARIS アートプロデューサー 住吉智恵)
●プロフィール:
小川敦生 ATSUO OGAWA
1969年 神奈川県に生まれる。
1999年 「ONE DAY ONE SHOW」FREE SPACE 3 (東京)
2001年 個展「POOL」OFF SITE (東京)
2002年 「コドモの日」アートランド (東京)
「朗読12」Brick-one (東京)
2003年 「RISING,SECAND,PARTY」ラかやのしほ LE DECO (東京)
「かぐのようながく」GALLERY SIDE 2 (東京)
個展「Rendezvous」OFF SITE (東京)
2004年 「retina」CROSSKUBIC (東京)
2004年 「Anと作家展」appel (東京)
「Aランチ」AXIS GALLERY ANNEX (東京)
「VOCA 2005」上野の森美術館 (東京)
「pond」gallery 5 (東京)
「MY MOLESKINE EXHIBITION」NADIFF (東京)
「WRITING line & LIGHTING line」川崎市市民ミュージアム(神奈川)
2005年 「多層系表現展」unit Fメンバーとして Art Space by FujiXerox (東京)
「seem」GALLERY it’s (東京)
「白瀧文化祭」白瀧呉服店(東京)
「植物文様」×藤枝守×兼藤忍×倉島美和子 千空間(東京)
「サイレンシティ」out-lounge (東京)
2009年 「fenomeno—Mostra di Atsuo Ogawa」
TAMANOHADA / WABI-SABI hair salon, Milano, Italia
2010年 東京都現代美術館MOTアニュアル2010「装飾」展
●主なパーマネント作品、装幀、挿画、プロダクトなど
コクヨAn アーティスト・ノート「snowflakes」
CD
足立兄弟「足立兄弟」(POSEIDON/MUSEA) 装画提供
行雲流水「picnic」(360°records) 同
藤枝守「今日は死ぬのにもってこいの日」(fontec) 同
角田俊也「Ridge of Undulation」(Hapna) 同
書籍
野田正彰「この社会の歪みについて」(ユビキタ・スタジオ) 同
小川敦生のモチーフが描かれたTシャツや一輪ざし、ジュエリーケースなどのプロダクトや
Tシャツは、NADiff各店、原美術館のミュージアムショップなどで展開中。
小川敦生オフィシャルサイト
www.turqoiserosco.com/atsuo_ogawa.html
展示風景 写真:井村一巴