会場:TRAUMARIS|SPACE
会期:6月3日(水)〜21日(日)
オープニングレセプション:6月3日(水)
本間純 × 小林エリカ トークライブ:6月6日(土)
春日さん / Mr. Springday / 2011年
パフォーマンス映像
TRAUMARIS|SPACEでは、恵比寿のスペース最後の展示として、
本間純(1967年生まれ)の個展「無名の国 Unnamed country」を開催します。
本間純は、東京で生まれ、横浜郊外で育ちました。
昭和40年代の新興住宅地といえば、空き地や草むらが連なり、整地されないままの林や崖が残る、空虚さと希望とが同時に存在するような場所でした。
大自然でも都市でもなく、自然とも人工とも言えない、その曖昧で茫漠とした余白的な風景に、彼は子どもの頃から慣れ親しんできました。
その余白を埋めるように充満していた光や音や匂い、そして空想が入り交じった記憶が、彼をかたちづくっている原風景であると、作家は認識します。
本間にとって作品をつくることとは、想像力を押し拡げ、自身の存在を確認し続けるための行為であるといいます。
さまざまな体感に満ちた名もない場所の余白に、想像力によって新たな記憶を投影し、観ることをうながす風景をつくっていきたいと彼は考えます。
作品を具現化するため、水、風、光、火、時間、あるいは風景それ自体を素材として取り入れてきました。
揺らぎ、変化し、時には目に見えないこれら自然の要素は、
観る人のイメージや記憶を変形させ、押し拡げる触媒になると
考えているからだ。その中でも私にとって重要なテーマは
「見えないが故に想像力で見ることを促す風景」をつくることだ。(本間)
2001年から再制作を重ねてきたのが、名もない場所の風景のなかに、彫刻作品や作家自身が溶け込み、見えないレイヤーを体現する作品です。
太古の昔から季節のうつろいを繰り返してきたその土地の風景は変わらないけれど、そこで歴史を積み上げてきた人々の意識は変化し、多くのものが失われ、生まれてきたはずです。作家自身の意識もまた訪れるうちに変化し、ゆえに同じ風景をもう一度撮りたい、と思わせると言います。
菜の花畑にひそむ春日さん、鬱蒼とした竹林の竹内さん、すすきの揺れる野原の薄野さん、豪雪の平原の雪下さん。季節ごとに訪れて撮影されたその光景は、土地に伝わる民話のようにほのぼのとしていながら、どこか不気味でよそよそしい「異物感」や「不在」を寓意しているようにもみえます。
2011年、福島原発が水素爆発した日も、本間はそこから250km離れた屋外でパフォーマンス作品の撮影を行っていました。
目の前には牧歌的な菜の花畑が広がっているのに、
そこには見えない放射性物質が降り注いでいる現実と、
風景は昨日と変わらなく見えても、違うものになってしまった
という事実に恐怖感と絶望感を感じた。
一方で目の前の風景がより美しいものにも感じられたのは、
損なわれるかもしれない日常が、より愛おしく思えたからかもしれない。
その時、以前から取組んできた「見えないもの」というコンセプトに、
よりリアルな側面と、新しいレイヤーが加わったと感じた。
かつてそこにあった街や人の営みは「見えないもの」になり、
不在や放射能などの新たな「見えないもの」が加わった。
更にいえば、新たにそれはイマジネーションでしか見ることができない
風景となった。(本間)
本展ではこのパフォーマンス映像を中心に展示いたします。
また、拾い集められた石やありふれた風景写真に、さらに写真を貼り込むことによって別の「無名の」風景が立ち上がることを企図した新作を発表いたします。
目に見えないものに思いを馳せること。
それは、人間特有の能力であり、また芸術が喚起することのできるもっとも重要で豊潤な「実り」であると考えます。
本間の一連の作品は、そのための装置としての風景を忽然と出現させ、記憶の重なりを呼び起こしていくことでしょう。
ぜひご高覧いただき、周知にご協力を賜りますよう
よろしくお願い申し上げます。
TRAUMARIS アートプロデューサー・ライター
住吉智恵
本間純 展
無名の国 Unnamed country
会場:TRAUMARIS|SPACE
会期:6月3日(水)〜21日(日)
オープニングレセプション:6月3日(水)
本間純×小林エリカ トークライブ:6月6日(土)
会場:
TRAUMARIS|SPACE
〒150-0013 渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F
TEL 03-6408-5522
月・火 定休日 水〜土 13:00-24:00 日曜14:00-22:00
問合せ:info@traumaris.jp
URL:www.traumaris.jp
会期中の主なイベント:
本間純 × 小林エリカ
トークライブ
6月6日(土) 19:00〜20:00(予定)
入場料:1000円(1drink付)
アートカレー部〈カレーの市民 〉
6月14日(日)17:00〜
カレー&1ドリンクセット 1000円
替え玉カレー 100円 ごはん200円
レオナ&田中邦和 LIVE
6月19日(金)19:30〜
田中邦和(sax.) レオナ(tap.)
投げ銭式
クロージングパーティ
6月20日(土)
竹内さん / Mr. InBamboo / 2013年
パフォーマンス映像
プロフィール
本間 純
1967年 東京に生まれる
1990年 多摩美術大学立体テサイン科卒業
個展
1993年 diary - 横浜ガレリア
1996年 pin – ギャラリー現・東京
1997年 rope – ギャラリー現・東京
1998年 There – ギャラリー現・東京
1999年 pass- ギャラリー現・東京
2001年 chattering – ギャラリー現・東京
2003年 midori - 新世代への視点・テン エレメンツ – ギャラリー現・東京
2004年 around - ラ ガルリ デ ナカムラ・東京
2005年 horizon – ギャラリー現・東京
2006年 breeze – ギャラリーキャプション・岐阜県
2007年 breeze – ギャラリーキプション・岐阜県
2009年 「そして川は流れる」- 黄金町エリアマネージメントセンター・横浜市
2010年 breeze - 旅 - 横浜市庁舎 市民ホール
グループ展
1992年 Encountering the others - カッセル、ハンミュンデン・ドイツ
1995年 宮沢賢治絵画館-三越美術館・東京
1996年 Morphe 96 - 青山・東京
1999年 ジャパンアートスカラシップ マケット展-スパイラルホール・東京
2000年 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2000 - 新潟県
2001年 青葉トリエンナーレ2001 - 横浜市.青葉区
2003年 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2003 - 新潟県
2004年 A MUSE LAND 2004 - 北海道立近代美術館
2006年 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2006 - 新潟県
2007年 Happy Hours - Zaim underground・横浜
2008年 AOBA+ART ・横浜 (出展+ディレクション)
黄金町バザール ・横浜
2009年 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2009 - 新潟県
水都大阪2009 ・大阪
TAMAVIVANT2009 ・多摩美術大学 - 東京
2010年 雪アートプロジェクト・まつだい農舞台 - 新潟県
2011年 AOBA+ART - 横浜
黄金町バザール - 横浜
宜蘭パブリックアートプロジェクト - 宜蘭市、台湾
2012年 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012 - 新潟県
Flyover:YOKOHAMANILA - フィリピン、横浜
2013年 瀬戸内国際芸術祭 - 香川県
2014年 越後妻有雪アートプロジェクト・まつだい農舞台 - 新潟県
JUN HOMMA
1967 Born in Tokyo
1990 Graduated Tama Art University
Solo Exhibition
1993 Diary - Yokohama Galleria
1996 Pin - Gallery Gen , ZA MOKA FOUNDATION.Tokyo
1997 Rope - Gallery Gen.Tokyo
1998 There - Gallery Gen.Tokyo
1999 Pass - Gallery Gen.Tokyo
2001 window installation - Desperado・Tokyo
Chattering - Gallery Gen・Tokyo
2003 Focusing on a New Generation in Tokyo 2003 - Gallery Gen・Tokyo
2004 around - La Galerie Des NAKAMURA・Tokyo
2005 horizon - Gallery Gen・Tokyo
2006 breeze/statement - Gallery Caption ・Gifu
2007 breeze/4 flags - Gallery Caption ・Gifu
2009 “And the rivers flow”- Koganecho Area Management center・Yokohama
2010 breeze/window,travel - Yokohama government office
Group Exhibition
1992 Encountering the others - Kassel,Hann-Munden , Germany
1995 Miyazawa Kenji Kaigakan - Mitsukoshi Museum.Tokyo
1996 Molphe `96 - Aoyama city.Tokyo
1999 Japan Art Scholarship - Spiral hall.Tokyo
2000 Echigotsumari Art Triennial 2000 - Echigotsumari , Nigata
2001 Aoba Triennial 2001 - Aoba-ku , Yokohama
2003 Echigotsumari Art Triennial 2003 - Echigotsumari , Nigata
2004 A MUSE LAND 2004 - Hokkaido Museum of Modern Art
2006 Echigotsumari Art Triennial 2006 - Echigotsumari , Nigata
2007 Happy Hours - Zaim underground , Yokohama
2008 AOBA+ART - Yokohama
Koganecho Bazaar - Yokohama
2009 Echigotsumari Art Triennial 2006 - Echigotsumari , Nigata
SUITO Osaka 2009 - Osaka
TAMAVIVANT09 - Tama Art Univercity・Tokyo
2010 Echigotsumari Snow Art Festival - Echigotsumari , Nigata
2011 AOBA+ART - Yokohama
Koganecho Bazaar - Yokohama
2012 Echigotsumari Art Triennial 2012 - Echigotsumari , Nigata
2013 Setouchi Toriennial 2013
2014 Echigotsumari Snow Art Festival - Echigotsumari , Nigata
Website: http://honmajun.com/
すすき野さん / Mr. Pampasgrass field / 2012年
パフォーマンス映像
雪下さん / Mr. Undersnow / 2015年
パフォーマンス映像
参考作品:
内海さん / Mr. Inlandsea/ 2013年
パフォーマンス映像 / 瀬戸内国際芸術祭2013・香川、岡山
そして川は流れる / And the river flows / 2008年/
30000×7000×H.1000mm/橋、テント生地 / 黄金町バザール・横浜
バッファローの風 / The breeze of buffalo / 2011年
/1850×1000×H.1500mm×3,2150×1000×H.1800mm
/ FRP,ステンレススチール、塗装 / 宜蘭大学・台湾
森 / grove / 2000年/ 2500×5000×H.3000mm/
約一万本の使い古した鉛筆、木、硝子、ガレージ
大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2000・新潟